アート”芸術”が終わったあとの”アート”  松井みどり

アート”芸術”が終わったあとの”アート”  松井みどり

1980年、90年代の現代美術の20年の歴史を急ぎ足で振り返ったものですが、とても楽しく読めます。

 

もちろんこのての解説書ですから、専門用語や難解な言い回しも出てきますが、多少の予備知識があれば、じっくり読んでいけば楽しめいます。

 

マーカー片手に、分からない美術用語は、アートスケープなどのサイトが役に立つとおもいますので、参考にしながら読むことをお薦めします。

 

入門書という訳にはいきませんが、1980年から2000年までの20年の現代美術野歴史を総括したモノとしては最適です。

 

以前ご紹介した椹木野衣氏の「日本・現代・美術」と比較しても淡々と事実を追いかけてる分、わかりやすいでしょう。

 

80年代以降の美術の大きなテーマとしては「ポストモダン化」というものがあります。

 

それまでの美術は、その視覚的な形態によって善し悪しが判断されていたのに対し、80年代以降主流となった芸術表現には、哲学的な考察や社会批判、人間の感情や欲望に関する要素が入ってきたと言うことです。

 

また、その間に絵画は何度も死んで、よみがえって・・・・

 

キッチュや虐げられたモノ、流用や引用、観客との関係性、おぞましいモノやかわいいもの、有りとあらゆるモノが出てきて、試され・・・

 

そして今主流の1960年代生まれの作家達の中には、芸術を政治的前衛や特権的な知の領域と結びつけて考える姿勢が薄れてきてるという特徴があり、また同時に、同じ感性をもつ同世代のキュレーターが成長してきたことなどにより新しい表現がでてきています。

 

特に90年代の作家は、モダニズムの形態論や批判理論によらず、無意識や未熟な感情すらもその重要な一部と認めながら、「自分」を世界との関係の中で確認し直し、独自の作品の方向性を決めていく傾向があります。

 

そして、既に「ポストモダン」でもなく、近代の欧米中心的な世界観や主体観が崩れている中で柔軟に対応しているのが現代です。

 

歴史は繰り返します、アートも時代とともに変わっていきます。

これからも様々に変わり続けながら、また新しい視点での見方が出てくることでしょう。

そして絵画は何度も死によみがえり、そして絵画という概念すら・・・

「アート」は人類が生み出した偉大な知的ゲームです。

このゲームは人類が存在する以上永遠に続くゲームです。

 

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松井みどり 略歴
美術評論家。東京大学大学院で英米文学で学び、プリンストン大学より比較文学の博士号取得。国内外の美術学術誌や企画展カタログに同時代の日本や英米の現代美術の潮流や作家について論文を多数寄稿。執筆カタログは、『Little Boy:Japan’s Exploding Subculture』(ジャパン・ソサエティ、05年),『Little Boy:Japan’s Exploding Subculture』(05年)など。著書に『「芸術」が終ったあとのアート』(02年)。『マイクロポップの時代:夏への扉』(07年)。武蔵野美術大学、多摩美術大学非常勤講師。

 

ア-ト:“芸術”が終わった後の“ア-ト”...

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