犬島アートプロジェクトと柳幸典

犬島アートプロジェクトと柳幸典

1909年に銅の精錬所が作られ、一時は3000人以上の人が暮らしたが、銅の価格の暴落により精錬所は10年で操業を終えた。その精錬所の遺構を保存・再生したアートプロジェクトが「犬島アートプロジェクト」だ。

 

このプロジェクトに最初から携わっているのが柳幸典というアーティストだ。

 

 

柳はこの小さな島に、日本の近代化の矛盾を感じ、と同時に犬島が産業廃棄物のゴミ捨て場になる計画があることを知り、この廃墟の持っている力、機能性、歴史などを利用して、アートの力で再生させ、なんとかこの計画を食い止めたいと考えました。

 

最終的に福武總一郎氏がこの島を購入、精錬所跡を再生した美術館が完成しました。
この美術館には、かつて日本の近代化に警鐘を鳴らしした三島由紀夫をモチーフにした柳の作品を恒久設置し、また植物の力を利用した高度な浄化システムを導入しているという。まさに循環型社会を意識したアートプロジェクトだ。

 

 

 

柳幸典やなぎゆきのり
(1959― )

 

造形作家。福岡県生まれ。1983年(昭和58)武蔵野美術大学絵画科卒業。1985年同大学院造形研究科修士課程修了。1980年代中ごろより作品を発表する。大量の土砂を使った「グラウンド・プロジェクト」をはじめ、日常的でありながらさまざまな歴史や制度、社会的問題をはらんだ国旗、貨幣、パスポートなどを用い、天皇制、憲法第9条、大東亜共栄圏といったテーマに注目した作品を精力的に制作した。
 1987年には東京・代官山ヒルサイド・ギャラリーで初個展を開催。また同年に開催された「アート・ドキュメント」(栃木県立美術館)に出品、優秀賞を受賞し、政治的なテーマを多く扱う独自の手法が注目される。その後、アメリカ、エール大学へ留学。滞米中は、大学図書館で九鬼(くき)周造や西田幾多郎の著作を精読、「日本」という問題を考察する。1990年(平成2)に同大学院彫刻科フェローシップ修了。

 

 

柳の名を世界に知らしめた作品《アント・ファーム・プロジェクト》は、透明な薄いケース内に砂絵で国旗を作り、その中に蟻を放して巣作りをさせるもの。そしてそれぞれの国旗はチューブでつながり、蟻が自由に往来して各国旗の色が、侵食されながら混ざり合っていく、美しさと危機感を合わせ持った作品。
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http://www.yanagistudio.net/works/antfarmproject01_view.html